お互い出向に来て2年目に入ったけど、三菱電機タイでの仕事はどう?
いわゆるルーティン的な仕事というよりは、毎回新しい課題にトライしている感じですね。「こうすればいい」っていう分かりやすい定石がない中、その度に自分の力が試されるので容易ではないですけど、そのぶん意欲をかき立てられますし刺激的です。
日本にいる時と比べて海外に出ると裁量の幅が一気に広くなるから、自分の手で道を切り開いている感覚が持てるよね。
あとタイに来て驚いたのは、お客様との距離感がとにかく近いことですね。「トラブルが発生したから、今すぐ来てほしい」と工場のメンテナンス担当者から依頼があったり。
日本みたいに窓口を通すことなく「ダイレクトに連絡を受けて駆けつける」みたいなことは、やはり東南アジアならでは。
日本の常識が通用しない場面もあれば、思いもよらないトラブルも起きるしね。そうしたこと引っくるめて、東南アジアで働くことの魅力だよね。
おかげで、日本にいた頃はどうしても日本的な考えに凝り固まってる感覚があったんですけど、タイに来て違う価値観や文化と出会っていくうちに、どんどんそうした凝りがほぐれていってるような気がします。フィリピンはどうですか?
僕の場合、いま出向している会社は以前から携わってた代理店とのジョイントベンチャー(合弁会社)だから、マネージャーというポジションだとはいえ仕事のイメージは持てていたし、スムーズにスタートできたかな。いま住んでる所はバスケットコートもジムもあって、暮らしもすこぶる充実してるし。ただフィリピンってあまりバスタブがなくて、日本の湯船がめっちゃ恋しいけど(笑)。辻くんは東南アジアに住むのは初めてだよね、不安とかなかった?
タイは結構いろんなことが日本語で解決できちゃうんですよね、日系企業も多いし。ほぼ日本と遜色ないクオリティで生活できているので、不便なことは殆どないですね。
それはいいね。僕なんか、ちょっと前までセツヨーの人と喋りたくて「Web飲み」してたっていうのに(笑)。
そう言えば、最近減ってきましたね(笑)。
「みんな頑張ってるんやな」って心の支えになったしね。今はローカルスタッフとチーム組んでバスケしたり、忙しいんだよ(笑)。
いいですね、タイのローカルスタッフも皆フレンドリーで、初日からウェルカムな空気で迎えてくれました。日本語を話せる方から順に仲良くなって、すぐに皆と打ち解けましたね。
こっちもスタッフの誕生日ごとにケーキを用意したり、驚くほどアットホーム。さすがにドリアンがおやつに出てきた時は、オフィス中に匂いが充満して困ったけど(笑)。
タイのオフィスはビリヤード台があるようなシャレた造りで、休憩中や定時後に皆でワイワイ遊んでたり、そのあたりは海外ならではの感じで日本ではなかなか見られない光景です。
辻くんは出向が決まった時っていくつだっけ? 最年少?
27歳で、2番目の若さだったみたいです。
それでも早く海外に行きたくて「自分の番はいつ回ってくるんだろう」って待ちかねていました。だからタイ出向が決まった時は、営業の第一線に立つことへの緊張感もありましたけど、やっと叶ったっていう気持ちのほうが強かった。
早くから海外を経験させてもらえるのは、本当にありがたいよね。僕の場合、入社2年目のOJTと3年目の長期出張で行ったインドネシアで経験したことが、いま確実に活きてる。
というのも、現地にいた頃に省エネ支援機器の販売に手応えを感じていて、「ASEANの中で飛び抜けて電気代が高いフィリピンなら、もっと需要が高いはずだ」って思ってたんだよね。だから着任してすぐ、手を挙げて音頭を取らせてもらった。その結果、半導体製造の大手企業からなんとか受注を取りつけることができたんだよね。
競合もいるなかエンジニアとセールスが一丸となって勝ち取ったプロジェクトだったから、今までにない達成感を味わえたし、その先5年間の発注を確約してもらえたこともあって大きな自信につながってる。
僕は小さな成功体験をコツコツと積み上げるべくお客様の現場課題や投資計画をヒアリングして、ゼロベースから受注につなげるための種まきをしているところです。
とはいえ失注したケースもゼロではなくて、「次はこうしてみたらどうだろう」と試行錯誤を繰り返しながら提案力を磨く日々ですね。
「これが正解」といったレールが敷かれていないだけに、知恵を絞って最適解を見つけていく力が自然と身についてゆきますし、そうした研鑽のなかで自分なりの仕事術みたいなものが芽生えてくることも、海外の最前線で働いているからこそだなって感じてます。
僕らが扱うFA機器は製造現場の要となる製品だから、お客様に決断を促すのはそう簡単ではないよね。
日本人ならではの進捗やレスポンスのスピードも含め、最後の最後は「人」として信頼されるかどうかが試される。なかなか受注に漕ぎ着けられないお客様でも、食事をともにして「すごく打ち解けたな」と思ったら、翌日に発注をいただけたり。人間力の面でお客様の心を動かすことができるところにも面白味があるし、やりがいも感じるよね。
出向して三菱電機の一員になってみると、学びになることは山のようにありますよね。ブランド認知度を向上するためのアプローチなど、営業の仕方ひとつとってもその中には学びの種が詰まってる。お客様の課題へのアプローチを技術部署と相談するなかでメーカーサポートの思想を学ぶこともできますし。
親会社である三菱電機の方針や考え方を学んでセツヨーにフィードバックすることが、出向に来ている僕たちのミッションでもあるからね。
僕にとっては、自分と同じくASEAN各国でマネージャーを務める三菱電機の先輩たちの存在が学びの種になってる。オンラインミーティングのなかでマーケティングや営業活動のヒントを得ることもしばしばだし、それこそ辻くんの上司にタイ出張の際にスタッフ採用のアドバイスをもらいに行ったり。出向しないと出会えなかった人たちからの学びは、計り知れないものがある。
セツヨーに戻った際には、出向してきた僕たちだからこそ貢献できるような知恵出しをしていきたいですね。将来的には、まだ着手されていない市場をゼロから開拓することに一度はチャレンジしてみたい。
成熟しきった市場より、これから伸びていくエネルギーに満ちた市場のほうに、やっぱり魅力を感じるよね。
そうした国で拠点を立ち上げるところから携わっていけたら楽しいだろうなって僕も思う。まずはここフィリピンで、設立されたばかりのこの会社の規模をもっと大きくしていきたい。ここで得た経験はセツヨーに戻ってからも、新たな拠点を作る時にきっと還元することができるはずだしね。
こうしてグローバルな環境に身を置くことで知見も深まるし、視野もどんどん広がる。
それに、自分の目と耳で見聞きしたことは必ず血肉となるから、気づけばいつしか自分そのものが変わってくると思うんですよね。若くしてそうした経験ができるかどうか。そういう意味でも、早くから海外の現場を経験させてくれるところに、セツヨーの魅力は集約されますよね。だから「海外で働きたい」という熱意がある学生の方には、ぜひ挑戦してほしいです。
僕自身、東南アジアで働きたいって強い想いはあったものの、英語があまり得意ではなかったんだよね。でも会社説明会で「英語は単なるコミュニケーションツール。商社は人対人、ハートtoハートなんだ」って話を聞いて、そのマインドに素直に心惹かれた。
英語力はもちろん伸びたけど、どこまでいってもネイティブではないわけで、それでも実際ここまでやってこれてる。だから学生の皆さんにも、自分の核となる想いや「どこでどんなふうに働きたいのか」といった軸がセツヨーとマッチした時には、ぜひ躊躇することなく飛び込んできてほしいなって思います。