台湾駐在員 遠藤有惟

ここは異国の地、積み上げてきた知識や経験がモノを言う。

台湾駐在のお話をいただけた時は、その場で即答したほど駐在は私にとって待ち焦がれていたものでした。さっそく台湾に出張して住居探しからスタートしましたが、内見や契約交渉の際には現地スタッフに付き添っていただけたので、安心して駐在開始の日を迎えることができました。
いざ台北で暮らし始めてみるとコンビニには日本製品が溢れ、街並も日本と似たところがあり、とても住み心地のよい街でした。強いて違いを挙げるなら、湿度が高いことくらいでしょうか。実際、駐在経験者の皆さんが口を揃えて必需品とアドバイスしてくださったのが除湿機で、冬場でも保湿を意識しなくてよいくらい、文字通り違いを肌で感じているところです。

入社当初から台湾窓口を担当し、出張の折にも現地スタッフと顔を合わせる機会が多かったため、職場にはすぐ溶け込むことができました。ただグループ会社とはいえ、ここは異国の地。言語や商習慣、そして社内システムの勝手も異なりますから、報告書作成ひとつとっても日本側が求めるものとの間には少なからずギャップが生じます。したがって営業活動や市場調査に必要な両国間のコミュニケーションを円滑に運ぶためには、現地と日本いずれをも熟知した者が間に立ちサポートすることが欠かせません。つまり、私たち駐在員がこれまで積み上げてきた知識や経験がそこで物を言うことになります。その点、海外出張やメーカー出向といったかたちで駐在に必要なスキルを磨く機会を非常に早期からいただけたことが、非常に役立っています。

解像度を落とすことなく、お客様の生の声を日本に伝える。

お客様の生の声を、ダイレクトに自分の耳で聞くことができる。それが駐在業務の最大のメリットにして、いちばんの醍醐味です。日本にいた頃は現地から届く情報がすべてでしたが、海外駐在の身となりお客様と対面で向かい合えば、生の声だからこそ見えてくるディテールというものがあります。それは、その製品を急ぎ必要としている際の抜き差しならぬ緊迫感や、お客様の事業においてその製品が占める重要性といった、数値では決して表すことのできないリアルな状況です。現地に身を置く私たちだからこそ感じ取ることのできるそうしたディテールを、解像度を落とすことなく日本側に伝え、お客様の要望に応える。駐在員の存在意義はそこにあります。

したがって、現地と日本との間に立ち、お客様に寄り添った言葉を紡ぎ出すという点では、私たち駐在員はある種、「翻訳者」のような役割を果たしていると言えるでしょう。そうした面で、私の原動力の源となっているのは先輩の存在です。どんな些細なことにも耳を傾け、各所からの要望をうまく反映させようと心配りされる姿勢には、お客様をはじめ、現地代理店、日本のメーカー、現地スタッフの方々からの絶大な信頼が寄せられています。「この人に任せれば間違いない」という安心感を生むそうした傾聴力をはじめ、経験豊富な先輩方から多くのことを吸収し、自らを成長させていきたいと日々模索しています。

国境を越えて、
アジアのモノづくりを支える。

私が取扱うFA(Factory Automation)機器はいまや、製造業において不可欠な存在です。
日常的に目にすることは稀ですのでイメージしにくいかもしれませんが、皆さんが工場見学などでよく目にする大きな機械には必ずFA機器が組み込まれています。生産性向上のための自動化、そして持続可能性(サステナビリティ)のための省エネという観点からも、21世紀のモノづくりには欠かすことのできないもの。

特に私が駐在する台湾では、高精度制御が求められる半導体産業を中心に、FA機器のニーズは高まる一方です。かつて、海外留学やひとり旅で訪れたアジアの地で目にした日本製品の数々が、海外営業の仕事へと私を駆り立てました。「私も国境を越えて海外に日本製品を提供する仕事がしたい」。そう熱望し、海外でシェア率の高い製品を扱うメーカーや専門商社を調べるなか、セツヨーと出会いました。ほんの少し前には農地だった場所に高層ビルが建ち並び、交通網が次々と延びていくようなアジアの成長のまっただなか、自分たちの仕事が微力ながらもアジアの国々の発展に寄与していると感じられることはとても幸せなことです。

ここ台湾で過ごす日々はきっと、私の人生において忘れがたい思い出として刻まれていくのだろうと感じながら仕事をしています。ぜひ皆さんとも、機会あれば台湾の地でともに働き、その想いを共有できるとすればそんな嬉しいことはありません。

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