「佐々木さん、営業に挑戦してみませんか?」——ある日、そう上司から声を掛けられたことがすべての始まりでした。
転機というのは本当に突然訪れるもので、特に前触れもなく掛けられたその一言で、私のキャリアは新たな扉を開くことになりました。それまで当社には一般職から総合職へのキャリアチェンジを経験された方はいませんでしたし、そうした話を聞いたこともなかったので、まさしく青天の霹靂でした。
一般職の業務は、引き合いから受発注、船積、売上回収まで一貫して携わることができるためやりがいを感じていましたが、「この機会を逃す理由はない」と思い、キャリアチェンジを決断しました。もちろん、貿易実務を長く続けてきたとはいえ、果たして私が即戦力になれるのか不安がなかったわけではありません。ただ、これまで一緒にチームを組んできた営業の方をはじめ、私の働きぶりを長く見てきた方たちが背中を押してくれたので、「大丈夫に違いない」と一歩を踏み出すことができました。それに、当社のキャリアチェンジ第1号でしたから、「私が最初の一歩を踏み出すことで、次に続く人の前例になるかもしれない」という想いも心の片隅にありました。実際その後、1人、2人……と続く方が増えてゆき、そのたびに「キャリアチェンジの決断をしてよかったな」と少し胸が熱くなります。
現在は海外駐在員と現地代理店のサポート役として、現地とメーカーの架け橋となり、納期や価格、技術面に関しての問い合わせ対応に奔走しています。いざ総合職の身となって分かったのは、業務の奥行きが想像以上だということです。実のところ一般職の頃は、駐在員や現地代理店とのやりとりはあったものの、さらにその先のエンドユーザーであるお客様と直接関わることはありませんでした。以前から担当してきたタイに加え、カンボジア・ミャンマー・ラオスを担当している現在は、国によっては私が駐在員の役割を担うこともありますし、お客様とのコミュニケーションが営業には欠かせません。
言い換えればそれは、お客様の声を直接耳にすることができる立場にあるということ。そのために、まずはお客様と現地のことを身をもって理解する為、海外出張を繰り返しているところです。
そうしてお客様のもとを訪問するたび、同行する駐在員の方たちの営業手腕を間近で目にすると、その豊富な「引き出し」の数に圧倒され、自分にまだ足りていないものの多さを痛感します。とはいえ、その分だけ私には成長するための伸びしろが残されているということです。製品技術の知識から市場の状況把握、コミュニケーションスキルに至るまで、お客様の要望に応えるために必要なことをひとつひとつ積み上げていきたいと考えています。そしていつの日か「海外で生活してみたい」と幼な心に抱いていた夢の実現を目指し、進んでいきたいと思っています。
私がセツヨーに入社してまず感じたことは、職場の雰囲気のよさです。
でもそれは、単に仲がよいことを意味しているだけではないことに次第に気がつきました。海外との取引では、ときに意思疎通の齟齬や少しのミスが後々大きなトラブルへと発展しかねません。そのため個人で問題を抱え込むことがないように、「不安なことがあれば何でも聞いて」と周囲と共有できるようなオープンな環境づくりを、社員がお互いに心がけているからこそ生み出される空気感でもあったのです。
一般職時代も総合職に転換してからも私が何度も助けられたそうした言葉を、皆さんもきっと心強く思っていただけるはずです。
就職活動をするにあたっては、迷ったり悩んだりすることもあるかもしれません。そんなときは、信頼できる周囲の人の声に耳を傾けてみてください。思いもよらない発見がきっとあるはずです。
案外、自分のことは盲点のようになって見えにくく、周囲からは手にとるように見えるものですから。